施耐庵『水滸伝(上)』(松枝茂夫編訳)(1959)


夏だから肩のこらない読みものも欲しいなと思い、
施耐庵(したいあん)『水滸伝(上)』(松枝茂夫編訳)を読んだ。
400詰め原稿用紙5,000枚以上に及ぶ原作を
松枝茂夫が岩波少年文庫のために1/5ほどに圧縮した翻訳である。


水滸伝 上 (岩波少年文庫 541)

水滸伝 上 (岩波少年文庫 541)


登場人物ひとりひとりの個性が濃く、
それぞれの強み、弱みがはっきり描かれているのが面白い。
庶民に好んで読まれた人気小説は史実とは異なるにせよ、
国史を理解する上で格好の補完材料になってくれる。
人間が見えてこないと歴史は味気なくつまらぬものだ。



上巻では梁山泊に豪傑どもが集まり始めたところで終わる。
これからどんな痛快な物語に展開していくか、
中下巻を読み進むのが楽しみだ。
水滸伝』の他、『三国志』『西遊記』など
岩波少年文庫目録は大人の夏休みにもふさわしい。


(文中敬称略)