アレクサンドル・ソクーロフ
『牡牛座 レーニンの肖像』 を見る。
歴史の権力者シリーズ第2作である。
レーニンが実際に晩年に住んだモスクワ郊外ゴールキの別荘が
ロケーションに使われている。
- 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
- 発売日: 2011/12/22
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ソクーロフの権力者の表現には共通点がある。
権力の絶頂から落ち、失意にあるときの姿を執拗に描写する。
ヒットラー、昭和天皇、レーニン。
昭和天皇をヒットラー、レーニンと同列に論ずるのは
すんなり納得いかないがあくまでソクーロフはそう見ている。
そして失意の時には必ず女性のパートナーがいる。
レーニンの妻クルプスカヤを演ずるマリヤ・クズネツォワが素晴らしい。
日本の女優で言えば樹木希林の演技の渋さがたまらない。
ソクーロフの作品に出てくる歴史の権力者たちは
パートナーの前では弱さをさらけ出す。
と同時に取り巻き連中、対峙する相手に対して
狂気を垣間見せる。
その狂気こそ彼らが権力の絶頂にいたとき、
多くの追随者たちを従わせた力に違いないと思った。
恐怖を呼び起こす狂気なのだ。