集会所の小僧、耳を澄ます


今夜は鉢洗いである。
お祭りの裏方を務めたみなさんのお疲れ会だ。
980円の使用料を支払って区の集会所を使う。
地元で自営業を務めるみなさんが主力で、
勤め人は僕ひとりだ。



祭りのたびに幾ばくかのお祝いを包み、
山車と御輿の休憩所で何年か雑用をするうちに
鉢洗いにも招いてもらえるようになった。
毎度のことだが町の生きた歴史が
酒の席の長老たちの雑談で語られる。
断片をつなげていくと、
自分が住む土地と人との関係がなんとなく見えてくる。



この席で僕は小僧だから
せっせとみなさんの芋焼酎水割りをこしらえ
最後まで残って後片付けをする。
会社とはまったく違う人間関係なんですね、これが。
面白い話はただでは聞けませんもんね。