閉じた日本の小さな窓になる


昨年来会う約束だったIさんが
日本で仕事を獲得するための助言が欲しいと訪ねてくる。
僕はよほどのことがない限り、
海外から訪ねてくる若者たちと会うことにしている。



Iさんはボストン在住。
カナダ人とエジプト人の両親の元で生まれ、
日本語を含む4カ国語を使う。
中東バーレーンでも仕事をした経験を持つ。
Iさんは日本で日本語をさらに学び、
なおかつ日本で職を見つける希望を持っている。



一見(いちげん)にはとっつきやすそうに振る舞うが、
実は頑ななまでに閉鎖社会の日本では
Iさんの希望を叶えるのは簡単ではない。
僕は率直な見通しを伝えながらも、
もしかしたらIさんの役に立つかもしれない
日本で働くポルトガル人の友人を紹介する。



なんだか僕はおせっかい爺さんのような役どころだ。
閉じた日本の社会、業界、組織の、
世界に向けて開いた小さな窓になれればそれでもいいかな、と。


日本にはあちらこちらの土地の風を通す、
もっとたくさんの窓が必要だと僕は思うね。
じゃないと、いい加減、窒息するぜ、僕たちも。