宮部みゆき『ソロモンの偽証 (1)』(2012/2014文庫版)


私鉄K線の車内額面広告によれば
はやくも200万部突破というから恐れ入る。
今年の出版界の快挙のひとつだ。
宮部みゆき『ソロモンの偽証 (1)』を読む。


ソロモンの偽証: 第I部 事件 上巻 (新潮文庫)

ソロモンの偽証: 第I部 事件 上巻 (新潮文庫)


新潮社100周年企画の一環なのか、
9月から3ヶ月連続で文庫版二冊ずつ発売し、11月で六冊完結。
読者へのサービス精神旺盛な宮部は、
文庫のためにオリジナル原稿を書き加えた。
単行本から2年のスピード文庫化だけでもうれしいのに、
既読の読者だってもう一度読みたくなるに違いない。



14歳の少年の死が自殺か、他殺か。
導入で早くも読者の心をグイッとつかむ筆力が宮部の持ち味だ。
風呂場で、寝床で、晩秋のひとときに楽しむにはもってこいの作品だ。
このスピード、タイミングで文庫化を実現してくれた
新潮社と著者に感謝したい。


(文中敬称略)