このところ齋藤秀三郎(ひでさぶろう)と
その著作について書いている。
帰宅途中のA図書館で
予約していた『実用英文典』を借りることができた。
「訳述」という語を初めて知った。
「翻訳してその内容を述べること。
また,翻訳による述作。」と辞書の語釈にある。
1898年から99年にかけて
齋藤32-33歳のとき、英文で執筆した1,056ページの著作だ。
中村捷東北大学名誉教授が「訳述」し、
開拓社が出版して、2015年、116年後に和訳復刻したのが本書だ。
- 作者: 齋藤秀三郎,中村捷
- 出版社/メーカー: 開拓社
- 発売日: 2015/06/08
- メディア: 単行本
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ザッと目を通すと、
"Idiomology"をテーマとした齋藤の意図を感じる。
どの語がどの語とともに使われるか、
イディオムとして語を連結するだけでなく飛躍的な意味を持つか、
豊富な実例で示していく。
英語の鬱蒼とした森を自力で探索し、
木の実、果実等を収穫するための実用的な道具を読者に提供している。
原書のタイトルは、"Practical English Grammar"。
出来成訓編・名著普及会復刻版が付けた邦題が『実用英文典』。
「実用」に込められた意味は案外深く、
『実用英文法』でなく『実用英文典』と訳したところに
苦心の工夫が見られる。
本書を復刻した開拓社に
出版を業とする者の意気と誇りを感じる。
一読者として祝福する。
(文中一部敬称略)