齋藤秀三郎/中村捷(訳述)『実用英文典』(2015)を借りてきた


このところ齋藤秀三郎(ひでさぶろう)と
その著作について書いている。
帰宅途中のA図書館で
予約していた『実用英文典』を借りることができた。



「訳述」という語を初めて知った。
「翻訳してその内容を述べること。
また,翻訳による述作。」と辞書の語釈にある。
1898年から99年にかけて
齋藤32-33歳のとき、英文で執筆した1,056ページの著作だ。
中村捷東北大学名誉教授が「訳述」し、
開拓社が出版して、2015年、116年後に和訳復刻したのが本書だ。


実用英文典

実用英文典


ザッと目を通すと、
"Idiomology"をテーマとした齋藤の意図を感じる。
どの語がどの語とともに使われるか、
イディオムとして語を連結するだけでなく飛躍的な意味を持つか、
豊富な実例で示していく。
英語の鬱蒼とした森を自力で探索し、
木の実、果実等を収穫するための実用的な道具を読者に提供している。



原書のタイトルは、"Practical English Grammar"。
出来成訓編・名著普及会復刻版が付けた邦題が『実用英文典』。
「実用」に込められた意味は案外深く、
『実用英文法』でなく『実用英文典』と訳したところに
苦心の工夫が見られる。
本書を復刻した開拓社
出版を業とする者の意気と誇りを感じる。
一読者として祝福する。


wikipedia: 齋藤秀三郎


(文中一部敬称略)