予約していた『実用英文典』を受け取りに
帰宅途上の金曜夕方、A図書館に寄る。
新刊書の棚は帰り際に必ず覗く。
ここの購入を担当している司書と趣味が合うのか、
僕が読みたいと思う本が見つかることがたびたびある。
注目していた池澤夏樹個人編集「日本文学全集」(全30巻)最新刊、
『日本語のために』を手に取り、借りることにした。
- 作者: 池澤夏樹
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2016/08/26
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (13件) を見る
あとがきに池澤が記している。
何かおかしな本ができてしまった、
というのが編集を終えた今の感慨。
この「日本文学全集」は
古代から現代までを貫く歴史の意識に導かれている。
その一方で日本ぜんたいという
地理的な広がりを求める気持ちもある。
その上にできるだけ多種多様な文体を収めたい
という望みが重なる。
それらすべての意図を
集約的に具体的しようと試みたのがこの一巻だ。
結果は人工衛星の高さにカメラを据えて、
八世紀から二十一世紀までの間に
この列島の全域で起こった言語現象を
微速度撮影で撮った動画のようなものになった。
(本書p.523より引用)
家に戻ってパラパラ頁を繰っていると、
「1 古代の文体/古典基礎語辞典 大野晋編著」が目に止まった。
国語学者大野晋が生涯最後に編んだ辞典で、
主要古語3,200語を取り上げ、
語源・語誌を重視して懇切丁寧に説明している。
池澤は余計な解説を加えることなしに
「なる」「こと」「もの」「なさけ」「しほ」「こふ」6語について
原著から引用している。
後は読者の判断、考えに委ねたいという編集姿勢が潔い。
- 作者: 大野晋
- 出版社/メーカー: 角川学芸出版
- 発売日: 2011/10/20
- メディア: 単行本
- クリック: 19回
- この商品を含むブログ (11件) を見る
大野の生涯の研究テーマであった南インド・タミル語と日本語の関連が
掲載語末に詳細に記されているのも大きな特徴だ。
辞書オタクとしては、この内容は見逃せない。
2011年に角川学芸出版から出版されていた。
wikipedia: 池澤夏樹
wikipedia: 大野晋
(文中敬称略)