いま生きる「資本論」—清水屋酒店篇


3月いっぱいで閉店した
近所の清水屋酒店の解体工事が進んでいる。
古くなったとは言え、直しながら住めばまだ住める家を
人間同士の売買契約に基づいて予定通り壊していく。
上ものは0円と言うより
壊し賃がかかるからマイナス価値なんだな。



まだ住める家を解体するのも、
解体工事で人が雇われ賃金を受け取るのも、
その人たちがパキスタンバングラデシュから出稼ぎに来るのも
次の建て売り住宅(たぶん)がにょきにょき建つのも
すべて資本の力なんですね。
いま生きるマルクスの『資本論』そのものです。
資本の増殖が人を走らせる。



(ありし日の清水屋酒店)


ここに一軒の酒屋があったことを
じきにみんな忘れちゃうんだろうなぁ。
新しく住む人たちはもともと知らない、
自分に関係ない近所史の一コマですもんね。
寂しい。


いま生きる「資本論」 (新潮文庫)

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