静かで質素な生活は、多くの喜びをもたらす


きょうのスクラップブックから。
讀賣新聞2017年10月25日夕刊
「幸せの理論」1億7700万円落札



   【エルサレム金子靖志】
   相対性理論で知られる物理学者アルバート・アインシュタイン
   (1879〜1955)が1922年11月に講演のため来日し、
   東京の帝国ホテルに滞在した際、
   日本人の配達人にチップ代わりに渡した直筆メモ2枚が24日、
   エルサレムで競売にかけられ、
   計180万ドル(約2億円)で落札された。



   エルサレムの競売商ウィナーズによると、
   156万ドル(約1億7700万円)で落札された1枚は、
   帝国ホテルの便箋(縦21センチ、横13センチ)にドイツ語で、
   「静かで質素な生活は、
   不安に襲われながら成功を追求するよりも
   多くの喜びをもたらす」と書かれている。
   (中略)


   アインシュタインは来日直前、
   ノーベル物理学賞の授賞を知らされたばかりで、
   配達人にメモを渡す際、
   「もしあなたが幸運なら、
   このメモ書きはチップよりずっと価値が高くなる」
   と話したという。


相対性理論 (岩波文庫)

相対性理論 (岩波文庫)


小学館日本大百科全書「ニッポニカ」によれば、


   「相対性理論」のアインシュタインとして、
   世界の寵児(ちょうじ)となった彼は、
   世界各国からの講義、講演の依頼で忙殺されるようになった。
   2週間余りの日本旅行では東京その他で講演を行った。
   (中略)


   彼自身も、第一次世界大戦後の
   ドイツ国内のわずらわしさから離れて、
   東洋に一時の安らぎを覚えたようである。



平凡社世界大百科事典の記述はこうだ。


   彼の徹底した平和主義と
   シオニズムに対して示した共感とによって
   反ユダヤ主義反動勢力の攻撃の的となり始め,
   彼自身ばかりか相対性理論まで
   P.E.A.レーナルト,J.シュタルクといった
   ドイツ科学提唱者たちのやり玉にあがるようになった。
   33年初め,ナチス政府樹立とともに
   ユダヤ人学者としてドイツを追放され,
   同年秋アメリカのプリンストン高等研究所に迎えられた。



日本訪問後のアインシュタイン自身が
「静かで質素な生活」を送れなくなることまで
このメモは予言していたのだろうか。


wikipedia:en:Albert Einstein