図書館から借りてきてうっかり積ん読にしておいた。
返却日が近づいて読み始めたら、面白い!
1/3ほど読んだところで返却期限が来て、
続きが読みたくて新刊で購入。
まず、タイトルがいいですよね。
マルクス・ガブリエル/清水一浩訳
『なぜ世界は存在しないのか』(講談社、2018)を読む。
- 作者: マルクス・ガブリエル,清水一浩
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2018/01/13
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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本書では、新しい哲学の原則を示してみせたいと思っています。
この哲学の出発点となる基本思想は、ごく単純なものです。
すなわち、世界は存在しない、ということです。
後ほど見るように、これは、
およそ何も存在していないということではありません。
(略)
したがって、いったん前もって、
こうお約束することができます。
わたしの主張によれば、あらゆるものが存在することになる
—ただし世界は別である、と。
(p.8)
ああ、よかった。
すべてが存在しないといまさら言われても困っちゃうよ。
でも、「世界が存在しない」ってどういうことなんだ?
著者は古今東西の著作、作品(テレビドラマシリーズもある)を
縦横に引用、参照し、論を進める。
訳者あとがきから引いてみる。
「作品名索引」は原書にはない。
これは日本版タイトルを確認するために
訳者が自分用に作ったものだが、
読者の役に立つこともあるかもしれないと思って
収録することにした。
訳者自身のためにものだったので
使い勝手の悪い点が多々あろうかと思うが、
ご容赦を願いたい。
(pp.302-303)
いやいや、どうして、どうして。
清水の作成した4頁の「作品名索引」(pp.326-329)は
マルクス・ガブリエルの主張を支える具体的支柱である。
原著の出版が2013年。
日本語翻訳誕生まで5年かかったが、それだけのことはある。
こなれた訳文、「作品名索引」に象徴される
読者への親切心は一級だ。
(勤務先から徒歩5分。法人契約で入園無料。昼食、体操、昼寝に重宝)
本書は今後現代哲学の基本書の一冊になるだろう。
こうした基本書は二度三度読むことで自分の血肉になる。
購入してよかった。
本書は一部で『なぜセカ』と略され、
著者も「マルガブ」と短縮形で呼ばれている。
神話・狂気・哄笑――ドイツ観念論における主体性 (Νύξ叢書)
- 作者: マルクス・ガブリエル,スラヴォイ・ジジェク,大河内泰樹,斎藤幸平,飯泉佑介,池松辰男,岡崎佑香,岡崎龍
- 出版社/メーカー: 堀之内出版
- 発売日: 2015/11/27
- メディア: 単行本
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(文中敬称略)