H. Saito "Practical English Grammar" (全4巻/興文社、1898-99)


年末の仕事納めが近づいてくると、
小遣いを握りしめて神保町ツアーに出掛ける。
午前中で仕事を終え、午後半休。
地下鉄に乗って神保町駅で降りる。



まずはすずらん通り「スヰートポーヅ」で腹ごしらえ。
満州仕込みの餃子・包子が名物だ。
焼き餃子8ヶに味噌汁、漬け物がつく定食。
ごはんは40円割り増しで大盛にしてもらう。計860円也。
懐かしい味なのか、年輩客も多い。
向かいの「キッチン南海」はきょうも20人ほど行列している。
13時を回ってこの繁盛ぶりは相変わらずたいしたもんだ。


目当ての古書店が唐揚げチェーン店に変わっていた。
実店舗をたたんでもサイト「日本の古本屋」では店を出している。
どんな形であれ生き延びてほしいな。
靖国通りを往復して古書店をいくつか覗く。



古書店MAPは毎年更新されている)


小川図書。山陽道書店。澤口書店。長島書店(本日休み?)。
南海堂書店。大雲堂書店。田村書店
小宮山書店。ボヘミアンズ・ギルド。
このあたりが僕のお気に入りの書肆だ。


Hidesaburo Saito(齋藤秀三郎)先生の
"Practical English Grammar" (全4巻)が6,000円で出ていた。
1898-99年、先生32-33歳の著作。
版元・日本橋区馬喰町興文社寄贈本で
H.Tarao の署名が入っている。
丁寧に書き込みがあり、熱心に勉強した様子がうかがえる。



「日本の古書店」では一組だけ出品されていた。
全4巻55,000円。
めったに出てこない代物で、
出れば手が届かないほど高価な古書なのだ。


以前同サイトで掘り出し物が出品されていたとき、
「いまどき買う人がいるのかな」と毎夜眺めていたら、
ある日、忽然と売れてしまった。
後悔先に立たず。
この4巻は僕の所に来たがっている気がした。


「この値段で出てるなんて珍しいね」
と店主に声を掛けると、ニヤリと笑うのみ。
消費税も取らずに、6,000円ポッキリにしてくれた。
僕は骨董趣味や投機のために古書は買わない。
実用あるのみ。勉強のために買うのだ。



この本に取り憑かれた中村捷(まさる)東北大名誉教授が
開拓社から『実用英文典』として訳述し復刊している。
僕はこの本も持っている。
訳述書を随時参照しながら、
英語の歴史的原著を勉強できるのだ。


本にはさまれた桜の花びらが押し花になっていた。
H.Tarao氏が4巻を読了したらしい年号が記されている。
1904。
花びら一輪が書物のタイムマシーンに乗って
114年後、我が家を訪れた。



実用英文典

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