スクラップブックから
2017年12月21日朝刊
朝日新聞連載コラム
「語る—人生の贈りもの— 指揮者 秋山和慶」
第8回「崖っぷちの体験 でもすごく充実」
(専属指揮者だった東京交響楽団が突然破綻して)
とはいえ自主運営ですから、
まずは楽員たちが自分たちの力で食っていけるように
しないといけない。
お金を稼ぐため、月に30回近く本番を入れました。
練習、本番、徹夜で勉強。
寝ないで指揮台に上がることもありました。
でも僕、正直に言うと、すごく楽しかったんです。
ベートーベンやブラームスといった古典を
片っ端から勉強するかたわら、日替わりで試すことができる。
だから、努力の結果が日々、音になって返ってくる。
とにかく毎日が充実していました。
おそらく普通ならば10年くらいかかる勉強を、
僕は1年くらいで終えることができました。
他のオケのどんな注文にも応えられるようになりましたし、
新作の譜面はギリギリまで出てこないので、
楽譜を読むスピードも格段に速くなりました。
給料が十分でないので、
楽員の多くが他の演奏の仕事も抱えていました。
時間を守らないと迷惑がかかる。
全身全霊でリハーサルに臨む姿勢も
この崖っぷちの体験に培われたような気がします。
(聞き手=編集委員・吉田純子)
ベートーヴェン:交響曲 第9番 ニ短調 作品125 「合唱付」
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崖っぷち、時間、お金。
逆境にへこまず仲間の楽団員の生活を守ることを最優先し、
指揮者の技量を伸ばす機会にも変えた秋山の生きる力に瞠目した。
吉田純子編集委員の、話を引き出す力量も素晴らしい。
併走者がいいから、読み応えのある連載になっている。
wikipedia:秋山和慶
wikipedia:小澤征爾
wikipedia:齋藤秀雄
(僕が敬愛する英語学者・齋藤秀三郎次男。点と点がつながった)
wikipedia:齋藤秀三郎
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