それでも人はのり弁と呼ぶ(小杉なんぎん)

クリッピングから
読売新聞2020年9月21日朝刊
読売歌壇(俵万智選)


今週も好きな歌3首、抜き書きしてみます。


  ちくわ天きんぴらごぼう魚フライ
  それでも人はのり弁と呼ぶ

        守口市 小杉なんぎん


     【評】誰もが一度は思ったことがあるのではないだろうか。
        おかずを詰めるような楽しさで詠まれた上の句も、いい。


「のり弁」のおかずを並べて歌が詠めるんだと
あらためて視点の大切さ、柔軟さを知りました。


  五日間はちみつまみれの刑にせし
  梅の体液、炭酸で割る

           狭山市 古谷真利子


     【評】梅シロップの炭酸割りを、言葉の力でドラマに仕立てた。
        はちみつまみれの刑で終わらせず
        「体液」とまで言った気迫に脱帽。


ほとんどの男性(自分含む)には
「体液」とまで言い切る気迫が不足しているかも、
と万智さんの評を読んで感じました。


  ヨーグルトの賞味期限は始業の日
  つるんと始まる子の夏休み

          三次市 山本美和


ヨーグルトの賞味期間のように限られた日数の、今年の夏休み。
でも、ひとりひとりのこどもたちにとって
かけがえのない日々だったことを願いたいですね。


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