最新はなくても安心がある、パンの楽園

クリッピングから
朝日新聞2023年7月15日朝刊別刷be
「お宝発見ご当地食」
亀井堂のサンドイッチなど(亀井堂) 埋蔵エリア 鳥取県
基本の「食パン」無駄にしません


  「スタバはないがスナバはある」発言で、
  企業出店が遅いことで有名になった鳥取県(2015年に出店済み)。
  同様に今も大手のパン工場がない同県。
  そのためか、長年、スタイルを変えずに
  衰えることのない人気パンがあります。
  亀井堂のパンです。
  いかにも和菓子店の名前ですが、
  1903(明治36)年にパン店で創業。
  特徴は「食パンが基本」。


  焼いた食パンは「食パン」として売るほか、
  両端の落としたミミを人気商品「ラスク」に使い、無駄にしません。
  真ん中はミミ付きのまま薄く切りイチゴジャムとピーナツバターが
  2組ずつ入った(つまり食パン4枚!)「サンドイッチ」(写真左上)や、
  こしあんをはさみ、油で揚げた「マイフライ」(右下)にも使い、効率的! 
  おやつに饅頭(まんじゅう)が好まれる土地柄、
  上品な白あんの「白あんデニッシュ」、
  2個分のアンパンを半分にした「切(きり)あん」なども1軍。


  熾烈(しれつ)な販売競争に巻き込まれることなく歴史を重ね、
  思い出のままの姿で帰省した県民を迎えてくれる亀井堂のパン。
  最新はなくても安心がある、パンの楽園です。
  亀井堂直売店および県内一部スーパーなどで販売。
  サンドイッチ250円など(税込み直売所価格)。

   (スーパーマーケット研究家・菅原佳己(すがわら よしみ))