今さら音がなる遠花火(月館桜夜子)

クリッピングから
讀賣新聞2023年8月28日朝刊
読売歌壇(俵万智選)
今週の好きな歌3首、抜き書きします。


  団子屋のおかみがくれる釣り銭の
  ぬるさも嬉し夏のゆうぐれ

          千葉市 芍薬


  おすすめを会うたび一冊ずつ貸して
  互いに小さな図書館になる

         越谷市 あきやま


  悔しさはうまく言葉にならなくて
  今さら音がなる遠花火

        東大和市 月館桜夜子


    【評】悔しさを感じた瞬間と、
       悔しさが言葉になるまでの時差。
       それが、花火の光と音の関係に重ね合わされている。
       閃光(せんこう)のような悔しさと、
       遅れて湧き上がる言葉のもどかしさが、
       巧みに捉えられた。