江戸末期からの相続関係説明図


 「これは、K市役所の臨時職員が調査したものを、
  別の臨時職員がチェックし、
  戸籍事務に精通した正職員が更にチェックしたものである。」


ふとしたことがきっかけで「相続関係説明図」なるものが
ある弁護士事務所から送られてきた。



さすがに「戸籍事務に精通した正職員が更にチェックした」だけあって
実によくできている。
僕から四代遡った先祖まで名前、死亡(あるいは誕生)年月日、
離婚歴、生存している者は現住所までが書いてある。
自分の祖先がどの土地の生まれだったか、漠然とは聞いていたものの、
これだけ正確な情報はもちろん知らなかった。



家系図と異なり、相続関係を説明する図だから、
家系図からすれば、x1/2x1/2x1/2x1/2=1/16、
つまり1/16の情報にすぎない。
この図では父方、父方、父方、母方と四世代を遡っている。
最後が母方だから、名字も異なる。
それにしても、これだけの情報を自分で集めるとしたら
時間も費用もバカにはなるまい。



四代前の父が昭和17年1月4日死亡(誕生年月日情報なし)。
母が昭和26年4月6日死亡(同上)。
その次女が明治18年6月15日生まれで
昭和45年2月16日に84歳で亡くなっている。
と言うことは江戸末期からの相続関係説明図となるのだろう。
時代を考えればかなり長寿の家系である。



セカクリ(=世界クリエイティブ塾)の講義でTさんが
「自分がどこから来てどこへ行くのか考えるために、
 自分の家系や家紋についてご両親やおじいさん、おばあさんと
 話してみてください」
と若手に話していた。
物言わぬ二枚の紙きれであるが、
時間と人の営みについて饒舌に語っているようにも思えてくる。
先祖の隠し資産が転がり込んでくる話は微塵もなかったが、
市井のある家族の四世代史を鳥瞰する材料がやってきた。


もういちど読む山川日本史

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