宮崎市定『アジア史概説』(新版: 1973)


6年半ぶりにアジアでも仕事をするようになった。
俯瞰で物を見、考えるのに役立つのは歴史である。
宮崎市定『アジア史概説』(旧版:1947/1948, 新版: 1973)を読む。
ときどきパラパラと目を通すことはあったが
通読したのは初めてだ。
「新版の序」にこうある。


アジア史概説 (中公文庫)

アジア史概説 (中公文庫)


   じつはこの書は何でもかでも書きこんである
   世のレファランス・ブックとは違い、
   ざっと通読して
   その間にある何かあるものをつかんでもらいたい
   という意図をもって書かれているので、
   おそらくそんな点が買われているのであろう。


                       (p.9)



アジアには中国がありインドがあり
東南アジアがあり、さらに西アジアがある。
筆者は交通史観とも言うべき歴史観
この広大なエリアを数千年単位の時間でとらえていく。
いかに他民族と交通で結ばれ交渉していくかが
その民族の興隆と滅亡を決める。
文庫版562ページ。碩学の名著。