TAICHANのチャーハン


ジャカルタの街はどこもかしこも厳戒態勢の雰囲気である。
ホテルに入るにも毎回荷物検査、身体検査がある。
数年前にあったホテルでの爆破事件以来のことだ。
ウォーキング派の僕としては街を自由に歩けないのはさみしい。
タクシーでオフィスに向かう。



びっしり詰まった一日の打ち合わせを終え、
赴任者のみなさんの憩いの場所「IZAKAYA TAICHAN」へ向かう。
道中はどこもかしこもクルマとオートバイで渋滞だ。
いちいちイライラしていたらこの街ではやっていけない。



「ここはね、チャーハンがうまいんだよ、シメのチャーハンが」
みなさんが口を揃える。
「ありきたりのチャーハンなんだけどね。
 日本で食べたらきっとどうってことないんだけど、うまいんだよ」
地元のビンタンビールを頼み、
竹輪磯辺揚げやらウインナーほうれん草炒めやらをつまんでいると
はて、いま僕はどこにいるのか、一瞬分からなくなる。



「日本語で男同士でバカな話がしたくなるんだよね。
 昼間はやっぱりできないんだよね」
みなさん、人間味あふれ、愉快な方たちである。
赴任十数年でほどなく帰国予定の方もいれば、
この春赴任したばかりの方もいる。



TAICHANを出ると、
みなさん、おとなりのYUJIRO CLUB & BARに吸い込まれていく。
ジャカルタの夜はまだまだ続くのだ。
僕と同僚Iさんは旅の疲れもあってここで失礼する。
明日は地元の方たちとのクリエーティブ・セッションが控えている。
まだまだ気は抜けない。