「斉藤酒場」に風が行き来する


一日暑い日だったから
仕事を終えて十条「斉藤酒場」に涼みに行く。
この時期の「斉藤酒場」は入り口も窓も開け放して
風が行き来するのだ。



定番のサッポロ赤星、冷酒、緑茶割りと飲み進む。
いつもの南京豆三粒の付き出しの後は、
谷中しょうが、冷や奴、セット(串カツ、カレーコロッケ)。
三杯(正確には一本と二杯)飲んで三品つまめば終了。
欅のテーブルで聞くともなく聞こえてくる
客の会話がBGM代わりだ。



年配のおじさんは再就職したのか、
いまの仕事の体験を年若いカップルに逐一説明している。
その隣りではご近所の常連なのか、
初老のご夫婦が仲むつまじく一杯やっている。



つい言わずもがなのことを
会社の会議で口にしてしまい心がざらつく。
「斉藤」は格別優しくもなく
普段通りの空気で包んでくれる。
昭和3年創業。