2056年に定年を迎える人たち


2013年4月1日。月曜日。
今年も新入社員が入ってきた。
浪人、留年をせず22歳で四年制大学を卒業し、
現在の雇用制度が適用され65歳まで務めると仮定すれば
彼らが定年を迎えるのは2056年である。
21世紀も半ばを過ぎている。



2056年にこの会社で定年を迎える人は
どんなに多く見積もっても三割はいないだろう。
終身雇用制度は弊害も多く出てきて、
時代と合わなくなった側面が目立つのは事実だ。
働いて価値を生み出し誰かに認めてもらわなくては
いずれ食えなくなるのはもはや世間の常識なのだろう。



社会が支えると言ったって、
その社会はひとりひとりが支えている。
哀しい事実ではあるけれど、
弱者を助けるにもどこかに人間社会の限界はある。



これまで契約書にサインをするでもなく、
23歳から今日まで自立して暮らしてこられた。
親はもちろん、他人や社会の助けはあったけれど、
それでもそれは奇跡のような時間に僕には思える。