アーネスト・ゲルナー『民族とナショナリズム』(2000)(再読)


同志社講座「ナショナリズムと国家2」(佐藤優講師)の
二冊の課題図書の一冊、アーネスト・ゲルナー『民族とナショナリズム
(原題:"Nations and Nationalism", 1983)を再読する。


民族とナショナリズム

民族とナショナリズム


佐藤講師が講義で何度か言っていたように
ゲルナーの文章は平易だがきちんと理解するのは骨が折れる。
5頁の巻末注、4頁の参考文献はあるものの
脚注を一切付けないのがゲルナーの執筆方針だ。
一度目に通読したときに見落としていた重要な考察に
二度目の通読で何度か出会った。



本書には現代のグローバリズム社会の解読に役立つ
洞察があることに気づいた。
産業主義のグローバリゼーションが
社会・人々に流動性や交替可能性を要求する。
異なる社会でも共通のビジネスルールを英語でこなす能力。
パスポートとコンピュータを持って
世界中どこにでも飛び回る能力。
現在もっとも脚光を浴びているグローバル人材のキャリアのあり方が
産業主義の強制力の結果と合致していることを知った。



  (若き日のアーネスト・ゲルナーWikipediaより引用)


ゲルナーの金字塔とも呼ばれる本書は
汲めども尽きぬ知的源泉であることが僕にも徐々に分かってきた。
通読に知的体力を要求される学術書の名著に取り組むことも
これからは必要になるなぁ、と思った。
佐藤優講師の講義、メルマガで紹介されるそうした著書群は
思考洞察のための歴史的宝庫だ。


wikipedia:en:Ernest Gellner