米原万里『オリガ・モリソヴナの反語法』(2002/2005集英社文庫)


志摩が60年代初めチェコプラハソビエト学校で師事した
魅力溢れる舞踏教師オリガ・モリソヴナは
どんな人生を送ってきた女性だったのか。
読みさしを出張に持って行き、物語を堪能した。
米原万里『オリガ・モリソヴナの反語法』を読む。


オリガ・モリソヴナの反語法 (集英社文庫)

オリガ・モリソヴナの反語法 (集英社文庫)


60年代のチェコソ連
そして志摩が謎解きに訪れる90年代初めのソ連崩壊の時期。
当時の共産主義国家がどんなもので、
そこに暮らす人たちの日々や夢がどんなだったか
手に取るように分かるような魔術がこの小説にはあった。
多くの事実に基づくとは言え、あるところから先の資料は乏しく、
ノンフィクションでなく小説でしか表現できなかった
と巻末・池澤直樹との対談で米原は語っている。



密度の濃い本作発表から3年後、米原は世を去る。
2016年は没後10年
メルマガ『佐藤優直伝・インテリジェンスの教室』(Vol.085) 所載
「読書ノート/連読3冊」でこの本の存在を知った。
読めてよかった!


第13回Bunkamura ドゥマゴ文学賞受賞。
不思議なタイトルの意味は物語の冒頭を読むと分かる。


wikipedia:米原万里


(文中敬称略)