他人のために記憶力を使える人


スクラップブックから。
讀賣新聞2017年8月22日朝刊。
くらし家庭面「ぷらざ」
茨城県阿見町・野口恵美子さん(67)の投書から。



   人にはそれぞれ特技がある。
   私の場合は記憶力だ。
   一度お会いしたら顔や名前を忘れない。
   4年前に退職するまで、大学病院に勤め、
   受け付け業務をしていた。


   先日、外来受診する姉に付き添って
   その病院に行ったときのこと。
   待合室で隣の席にいた女性から話し掛けられた。
   「ねえ私いくつだと思う?91歳よ」
   顔を見てピンと来た。


   「えっ、お若いですね。
   そう言えば以前、外来でお会いしたことがありますね。
   確か○○さんですね」
   その方は10年ほど前、
   病気をしていた夫の付き添いで、よく病院に来ていた。



名前を覚えていてくれたことを喜んだその女性が
手帳に野口さんの名前を書き留めている文字を見て
野口さんはまた思い出す。


   「確か書道もされていましたね」



在野には凄い記憶力の持ち主で
なおかつ、その力を
他人のためにさりげなく使える人がいる。