又吉直樹「劇場」(「新潮」2017年4月号)


永ちゃんこと永田と沙希ちゃんの
不器用で、不格好な恋愛のカタチを見ていると、
そうだよな、青春は不器用で、不格好なものだったよな
と思い出す気がした。
又吉直樹「劇場」(「新潮」2017年4月号所載、長篇300枚)を読む。


新潮 2017年 04月号

新潮 2017年 04月号


夏の暑い盛りから会社帰りにH図書文化館に寄って、
少しずつ読み進めてきた。
又吉のデビュー作「火花」もここで初出誌で一気に読んだ。
ずいぶん前に予約していた分の順番が回ってきて、
続きは地元K図書館で借りてきて、家で一息で読んだ。


物語りの途中から二人には破局が訪れるんだろうな、
なんだかそうなってほしくないから、
読み進めるのが怖いなという気持ちになった。
ネタバレしないようにラストシーンは書かない。
エンディングが切なくて、でも救いもあって、
読後感が悪くなかった。
もう一度冒頭から読み直したいと思った。


劇場

劇場


日本中が注目した又吉の第二作。
みんなで注目しすぎて、この希有な才能をつぶしたくない
と少し遠くからこわごわ応援していた。
第二作も期待を大きくクリアした。
あと一作、三作発表できれば、
作家として長く作品を産み出せるのではないか。
それだけの文学的蓄積をこの人は持っていると僕には思える。


第2図書係補佐 (幻冬舎よしもと文庫)

第2図書係補佐 (幻冬舎よしもと文庫)

火花 (文春文庫)

火花 (文春文庫)

(文中敬称略)