25%の福音派が米国大統領を動かす


佐藤優講師の同志社神学講座に通って勉強していると
自然とこんな記事に目が行くようになる。
スクラップブックから
朝日新聞2018年7月30日朝刊


  福音派牧師 トルコが長期拘束
  トランプ氏、制裁予告 エルドアン氏は反発


  トルコでテロ組織支援などの疑いで長期拘束されている
  キリスト教福音派の牧師の解放を求める
  米国とトルコの関係が緊張している。
  国内の福音派を支持基盤とするトランプ大統領
  制裁をちらつかせて圧力をかけるが、
  トルコのエルドアン大統領は
  「我々が後退することはない」と反発している。
  (略)


  福音派は米国の人口の約25%を占める
  と推計される最大宗教勢力で、
  トランプ氏の支持者が多いことで知られる。
  トランプ氏は11月の中間選挙を念頭に、
  釈放に向けた圧力を強めて同派への配慮を示し、
  支持固めを図る思惑があるとみられる。
                  (イスタンブール=其山史晃)



トランプのメッセージは例によって26日のツイート。


  「ブランソン牧師を長期拘束するトルコに大規模な制裁をかける。
  信仰心を持った無実の者はすぐに解放されるべきだ」


一方、エルドアン氏の29日のコメントは


  「米国が態度を変えないなら、
  強力で誠実なパートナーを失うことになる」


ただし、こちらはトルコメディアが相手。


宗教の力が政治家を動かす現実。
メッセージ発信の手段、相手を選ぶ政治家の思惑。
手に透けて見えるようで面白い。


宗教改革から明日へ: 近代・民族の誕生とプロテスタンティズム

宗教改革から明日へ: 近代・民族の誕生とプロテスタンティズム

(2018年佐藤講座「宗教改革とは何か?」の教科書。
今期は京都と映像でつなぎ、同志社神学部学生6名と共に学んでいる)


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(参考:以下「ジャパンナレッジ」より引用)


宗教右派
religious right


現在共和党を支える勢力の一つであり、
共和党の支持基盤を拡大するうえできわめて重要な役割を演じてきた。
1970年代後半から共和党の右派と
プロテスタントの保守派指導者とが協力し、
信心深い有権者共和党支持に動員してきた。


その際彼らが問題視し、また脅威に感じたのは、
アメリカ社会全般における世俗化の急速な進行であるが、
特に73年以来の人工妊娠中絶の合法化とその件数の激増、
60年代以来の性道徳の乱れやポルノの蔓延、同性愛者の権利の強化、
進化論教育の広がり、男女平等論と女性の社会進出の傾向、
公立学校から宗教色が払拭される傾向などであった。


とりわけ南北戦争以来長期にわたって忠実な民主党支持者であった
南部の貧しい白人層を共和党支持に変更させるうえで、
宗教右派の指導者は重要な役割を演じた。
80年のロナルド・レーガン当選以来、
共和党大統領候補は彼らに相当程度依存しないと
勝ちにくい構造が成立している。


現在では、聖書を神の言葉として文字通り信じて
必ず教会に行くような信仰心の深い有権者と、
神を信じない世俗の亀裂はきわめて大きく、
それは共和党民主党の違いとも重なり合っている。
このようなキリスト教保守派は、回心体験(born-again)や
現世での積極的行動主義に着目して
福音派(evangelical)と呼ばれる場合もある。
〈参:→福音派(816頁)〉


"宗教右派アメリカ]", 現代用語の基礎知識 2018,
JapanKnowledge, https://japanknowledge.com ,
(参照 2018-07-31)