民族とナショナリズムを復習している


アントニー・D・スミス『ナショナリズムとは何か』(2018)を契機に、
スミスの他の著作を読み始めた。
邦訳のある『20世紀のナショナリズム』(1995)、
『ネイションとエスニシティ —歴史社会学的考察』(1999)の2冊だ。



20世紀のナショナリズム

20世紀のナショナリズム

(サイト「日本の古本屋」で送料別500円の出物を見つけた。
Amazon古書だと4,000円以上する)


2015〜17年佐藤優講師の同志社講座で
ナショナリズムの基本書3冊の読解に取り組んだ。
スミス『ネイションとエスニシティ』の他、
ベネディクト・アンダーソン『想像の共同体』(1987/1997/2007)、
アーネスト・ゲルナー『民族とナショナリズム』(2000)だ。


ネイションとエスニシティ―歴史社会学的考察―

ネイションとエスニシティ―歴史社会学的考察―

(スミスがライフワークと自負する代表作)


こうした基本書はチューターについてもらって
要所難所を解説してもらうと最後まで読むことができる。
その後に二回三回、自分で復習していけば、
知識が血肉になるのが自覚できる。



佐藤講座は文春新書になっていて
これを読めば民族とナショナリズムについて基礎が身に付く。
僕も復習代わりに再読している。
同志社での講義録(2015〜16年)が元になっていて
この分野の初学者(入門時の僕のような)にも読みやすい。


こうした基本を養いつつ、
新聞で現在の世界情勢を読んでいくと、
民族、ナショナリズムの内在論理を考えるクセがつく。
次にどんな動きになるのか、予測するのも楽しい。
(情報不足や読みが飛躍して外すことは多々あるが)


ナショナリズムとは何か (ちくま学芸文庫)

ナショナリズムとは何か (ちくま学芸文庫)


スミスの思考が他の社会人類学者よりふくらみがあるのは
なぜなんだろうと考えていて、あるとき彼の経歴が目に入った。
LSE(ロンドンスクール・オブ・エコノミクス)で社会学博士、
ロンドン大学で美術史博士を取得している。
このダブル博士号の探求蓄積が
スミスを「エトニー」概念に行き着かせた秘密なんじゃないかな。
あくまで僕の仮説です。
佐藤優さんにメルマガ質疑応答で聞いてみようかな。