村上春樹『めくらやなぎと眠る女』(新潮社、2009)


仕事を終えて帰宅してピアノジャズに耳を傾けながら
一日一篇ずつゆっくり読んでいく。
村上春樹『めくらやなぎと眠る女』(新潮社、2009)を読む。
(日本版の読者に)から引用する。


めくらやなぎと眠る女

めくらやなぎと眠る女

(新潮社装幀室のブックデザインが秀逸)


   この『Blind Willow, Sleeping Woman
   (めくらやなぎと眠る女)』は、
   『The Elephant Vanishes(象の消滅)』に続いて
   外国の読者に向けて編まれた、第二短篇集である。


   最も初期の作品から、
   『東京奇譚集』までを含んだ「自選短篇集」だが、
   作品を選ぶにあたっては
   Knopf社のゲイリー・フィスケットジョンのアドバイスを受けた。
   従ってこの序文(引用者注:(日本版の読者)に続く文章のこと)は、
   海外の読者を対象として書かれたものである。


村上自選・フィスケットジョン助言24作品は
配置された順番まで十二分に楽しめる。
僕はビートルズの「ホワイトアルバム」を思い浮かべたなぁ。
LP2枚組でしたね。


   めくらやなぎと、眠る女(Blind willow, sleeping woman)
   バースデイ・ガール(Birthday girl)
   ニューヨーク炭鉱の悲劇(New York mining disaster)
   飛行機—あるいは彼はいかにして詩を読むように
   ひとりごとを言ったか
   (Airplane: or, how he talked to himself
   as if reciting poetry)
   

   鏡(The mirror)
   我らの時代のフォークロア—高度資本主義前史
   (A folklore for my generation:
   a pre-history of late-stage capitalism)
   ハンティング・ナイフ(Hunting knife)
   カンガルー日和(A perfect day for kangaroos)
   

   かいつぶり(Dabchick)
   人喰い猫(Man-eating cats)
   貧乏な叔母さんの話(A "poor aunt" story)
   嘔吐1979(Nausea 1979)


   七番目の男(The seventh man)
   スパゲティーの年に(The year of spaghetti)
   トニー滝谷(Tony Takitani)
   とんがり焼の盛衰(The rise and fall of sharpie cakes)
   

   氷男(The ice man)
   蟹(Crabs)
   螢(Firefly)
   偶然の旅人(Chance traveler)
   

   ハナレイ・ベイ(Hanalei Bay)
   どこであれそれが見つかりそうな場所で
   (Where I'm likely to find it)
   日々移動する腎臓のかたちをした石
   (The kidney-shaped stone that moves every day)
   品川猿(A Shinagawa monkey)


Jay Rubinら一流翻訳陣の英語版も
続けて読みたくなりますねぇ。
都内の公立図書館の中でも港区図書館は
土地柄、英語に限らず外国語蔵書が充実しています。
さっそく二冊、予約を入れました。


Blind Willow, Sleeping Woman.

Blind Willow, Sleeping Woman.

The Elephant Vanishes

The Elephant Vanishes


日本語で読んで、英語で読んで、また日本語で読んで。
こりゃ、たまらんわ。
魂の温冷浴みたいなものかしらねぇ。
つかりすぎてのぼせないようにしないと、ね。


村上春樹「象の消滅」英訳完全読解

村上春樹「象の消滅」英訳完全読解

村上春樹「かえるくん、東京を救う」英訳完全読解

村上春樹「かえるくん、東京を救う」英訳完全読解


二冊の中のいくつかの作品は
NHKラジオ「英語で読む村上春樹」(2013-17)
教材として取り上げられました。
春樹ファンなら、英語を楽しく学べる
最良のテキストブックになること請け合いです。



ちなみに「ホワイトアルバム」は
二枚のディスクに全30曲収録されています。