スクラップブックから
朝日新聞2018年9月26日夕刊
英訳の村上作品が開いた扉
日本文学を海外の読者へ届ける、
橋渡し役の著者による本が相次いだ。
2人には、村上春樹作品と
英訳で出会ったという共通点がある。
日本文学者 マイケル・エメリックさん
(カリフォルニア大学ロサンゼルス校准教授)
初めて村上春樹を読んだのは高校時代、
英訳された短編集『象の消滅』だった。
「この短篇はすごく好きでした。
今は日本語でも村上作品を読みますが、
作家のイメージは英訳で確立された。
今でも村上さんは短篇がいいと思う。
『風の歌を聴け』から読んだり、
『ノルウェイの森』で初めて手に取ったりした
日本の読者とは、作家像が異なるかもしれませんが」
(略)
作家 辛島デイヴィッドさん
作家で翻訳家の辛島デイヴィッドさん(早稲田大学准教授)の
『Haruki Murakamiを読んでいるときに我々が読んでいる者たち』
(みすず書房)は、翻訳者、編集者、そして村上本人への
インタビューを連ねた文芸ドキュメンタリーだ。
「翻訳家や編集者の個性にひかれて書き始めた。
彼らを主人公にした物語は、きっと面白くなると思った」。
村上作品の、英語圏での成功の道のりを丹念に追う。
(略)
(中村真理子)
Haruki Murakamiを読んでいるときに我々が読んでいる者たち
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NHKラジオ講座「英語で読む村上春樹」で辛島は四代目講師。
マイケルはテキストブックに毎月エッセイを連載していた。
自身が勤めるUCLAでの、村上作品を使ったゼミの報告だった。