愛すればこその諫言(かんげん)でしょうか(池上彰)


朝日新聞、毎月最終金曜日朝刊は
この連載を楽しみにしています。
池上彰の新聞ななめ読み」
さて、池上さんが今月どのテーマを取り上げるのか、
興味津々です。



   安倍首相の自民総裁3選
   政治部長はどう見た?


   自民党の総裁選挙で
   安倍晋三首相が連続3選を果たしました。
   新聞各紙は社説で安倍首相への注文を書いていますが、
   1面には各紙の政治部長が論評しています。
   この各紙の論調の違いが面白いのです。


そうか、漠然と各紙を読み比べるのでなく
この場合、「政治部長」に絞って論調を比較すると
それぞれの新聞の違いが見えてくるんですね。


   その前に、ひとつ注目点がありました。
   3選を果たした安倍首相を何歳と表記するかで
   新聞の判断が分かれたのです。


   9月21日付朝刊で、
   朝日と読売は「63」と表記しましたが、
   毎日と日経は「64」と書いています。
   どうして違うのか。
   安倍首相の誕生日が記事の掲載日だったからです。
   (略)


   ここは、本紙はなぜこの年齢を表記したのか
   説明がほしいところ。
   この心配りが読者に親切なのです。


「読者に親切な心配り」、
それが池上さんのぶれない視点ですね。



各紙政治部長のコメントで
池上さんは読売に着目します。


   意外だったのが読売。
   こちらも安倍首相に厳しい注文です。
   <ワンサイドゲームにも見せ場や、
   次の試合へのヒントがあるものだ。
   安倍首相の圧勝で終わった自民党総裁選も、そうだった>
   こう書き出して、安倍首相の「敵」として、
   「長期政権の惰性、おごり、飽き」を指摘しています。


   <政策より政治手法が焦点となり、
   国会議員票ほどには党員票で差がつかず、
   読売新聞の調査で「安倍1強は好ましくない」
   と答えた党員は59%にのぼった>
   (略)


   <(略)圧倒的な議席
   「国民の支持」の実態よりも大きいと自覚せずに
   「選挙に勝ったからいいじゃないか」となってしまうと、
   独善的な政治に陥る>


そして、記事をこう締めます。
ピリッとスパイスが利いてます。


   愛すればこその諫言(かんげん)でしょうか。
   説得力があります。