夫の「太陽光蓄電池」でありたい(奥寺幸子)

スクラップブックから
朝日新聞2019年2月20日朝刊
読者投稿欄「ひととき」 夫の「蓄電池」に
札幌市 奥寺幸子 主婦 75歳


   1年ほど前から、
   「5歳の男の子」が、我が家の子どもになっている。
   おい夫婦から贈られたこの子は、
   おしゃべりするおもちゃの人形。
   (略)


   北海道バージョンに設定しているため、
   独特の方言や言い回しも笑いを誘う。
   エネルギー源である電池が必須で、
   1カ月に1回ほど、「デンチ換えてね」と催促があり、
   交換するまでは何も言ってくれない。


   81歳の夫も、それなりにこの子をかまっている。
   最近、「デンチ換えてね」にこたえていた。
   「俺なんかな、もうずーっと前から電池切れなんだぞぉ。
   おまえさんわかるか」と。
   (略)


   夫の「電池」は入れかえてあげようもないが、
   せめて天気予報にある小さめのお日様マーク程度は、
   明るく元気に、夫の老いを補う
  「太陽光蓄電池」的な存在でありたい。


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奥寺さんご夫妻と「5歳の男の子」の三人暮らしの絵が
彷彿と浮かんできます。
「男の子」にはきっとお二人で
名前を付けて可愛がっているんでしょうね。