何でもできると思わせちゃいかんのだ(後藤田正晴)

クリッピングから
朝日新聞2019年10月23日夕刊
時代の栞(TOKI NO SHIORI
「情と理」 1998年刊 後藤田正晴 ◀◀政と官のあり方は
官邸主導が完成 官の意欲そぐ


  (略)
  「政治が国の方向性を決めるが、全能ではなく、
  ゆがみが出たら行政が防ぐ」。
  2005年に91歳で没した後藤田氏は、
  「政と官」をそう整理していたと、
  自身も官房副長官を務めた古川さんは考える。


  政界引退前後の口述記録を書籍化した『情と理』では、
  政治について
  <五十年間、革命的な変化はありませんよね。
  これはやはり官僚ですよ>と語った。


  インタビューした御厨(みくりや)貴・東京大名誉教授は
  「官僚時代は人事介入する首相を嫌い、
  官房長官になると首相への権能集中に反対した。
  『何でもできると思わせちゃいかんのだ』と」。
  (略)
                    (河村克兵)


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ジェラルド・カーティス米コロンビア大名誉教授は
後藤田氏についてこう語っている。


  (略)
  政治家も官僚も経験して権力構造を知り尽くしていた。
  権力をどう使うかだけでなく、ひとたび権力を乱用すれば
  どれほど危ないかもわかっていた。
  権力を慎重につかうべきだと考える権力者だった。
  (略)


権力は行使しなければ保持する意味がない。
乱用すればこれほど危ないものはない。
権力者がどれほど自制して権力を使おうとしても、
自分をコントロールする限界がある。
チェック・アンド・バランスをどうするか。
政治の世界だけでなく、会社の中にも同じ構造、問題があることに気づかされる。


情と理 -カミソリ参謀回顧録- 上 (講談社+α文庫)

情と理 -カミソリ参謀回顧録- 上 (講談社+α文庫)

情と理 -カミソリ参謀回顧録- 下 (講談社+α文庫)

情と理 -カミソリ参謀回顧録- 下 (講談社+α文庫)

(御厨チームによる、読み応えあるインタビュー)