クリッピングから
朝日新聞2021年9月18日朝刊
「折々の言葉」(鷲田清一)●2148
「今いる場所がすべてじゃないんだ」と考えると、
脳が活性化しますよね。
例えば母が子を愛せない気持ちをそのまま描いてもつらいだけ。
これまでSF系の物語や動物への変身譚(たん)などをよく描いてきたのも、
自分の中に居座っている日常の窮屈な決まり事や囲いから
自分の視線や感覚を解き放つ格好の「扉」だったからだと、マンガ家は語る。
イタリアでの日本少女マンガ史の講義後の発言。
『私の少女マンガ講義』(聞き手・構成 矢内裕子)から。
SF的思考法が現実の救いになることもあるんだと、
萩尾望都さんの言葉を読んでしみじみ思いました。