宮城野親方に対する厳しい処分はモンゴル出身であるがゆえの迫害ではないか(和田静香)

クリッピングから
毎日新聞2024年5月4日朝刊
大相撲・宮城野部屋閉鎖を語る(和田静香
過去の例と比べ不公平


  「暴力は本当にダメ。
  絶対。それを見過ごしていたこともダメ」
  と訴えた後、和田さんは
  「でもね、北青鵬は引退し、
  宮城野親方には日本相撲協会から
  2階級降格と報酬減額の懲戒処分が出た。
  その後の部屋閉鎖。
  過去の例からしても処分は公正ではないと思うんです」
  と切々と語る。
  (略)


  では、宮城野親方の処分は重すぎるのだろうか。
  和田さんはうなずいて
  「部屋を閉鎖する処分基準が不明確なのです」と説明する。
  (略)


  現役時代に歴代最多45回の優勝を果たした宮城野親方だが、
  優勝時に観客に万歳三唱を求めるなど
  土俵内外での振る舞いが問題視され、
  過去に処分を3度受けていた。
  引退して年寄を襲名するにあたっては
  「理事長をはじめ先輩親方の指揮命令・指導をよく聞くこと」
  などの条件を守る異例の「誓約書」を求められ、提出した。
  それが今回の処分に影響したとも見られている。


  和田さんは、宮城野親方に対する厳しい処分は
  モンゴル出身であるがゆえの迫害ではないか、
  との疑念を拭えないという。
  協会は21年、親方になれるのは「日本国籍を有する者に限る」
  とする条件の見直しを見送った。
  その際、諮問機関「大相撲の継承発展を考える有識者会議」が
  協会に提出した提言書では、
  外国人力士の「入日本化」という言葉が用いられた。


  和田さんは
  「これは外国出身の力士が相撲を取るには
  日本の文化に染まりなさい、
  というかつての日本の植民地政策に似た考え。
  それらを考えると、宮城野親方に対する処分には
  恣意(しい)的なものを感じる」
  と消えない違和感を口にした。

                  【山崎明子】