夏休みの宿題に取り組む。

岩波文庫九鬼周造『「いき」の構造』読了。
この本の存在は無論知っていたが、
読むのは初めて。
ベルリンスクール論文で
「いきと野暮」を取り上げるなら、
九鬼先生の著書を読んでおかなくては
話にならんだろうと取り組み始めた。
『「いき」の構造は「媚態」と「意気地」と
 「諦め」との三契機を示している』(p.27)
パリで先生がこの論文を書き終えたのが、
1926年12月。
九鬼先生はこの論文をフランスのアカデミーで
ヨーロッパの知識人、哲学者相手に発表した。
江戸化政期の価値観を
ヨーロッパのそれと拮抗するものとして対峙させた。
80年前になんと困難な挑戦をしていた哲学者がいたのだろうと
その孤高に僕はちょっと感激した。意気地だねぇ。
それと同時に、いやぁ、いきと野暮について
うっかりいい加減なことを書いちまったら、
先生に申し訳ない気もしてきた。
クラスメートたちや学長までが
ikiだのyaboなどと使い始めているし
いったいどうしたものだろう。
僕の夏休みの宿題なのだ。