それは忽然と消えた

それは忽然と消えた。
ほんの少し前に確か雲の写真を撮ったはずだったのに
既に僕のそばから気配をなくしていた。



銭湯に探しに行き、
雲の写真を撮った場所に落ちていないか探し、
猫の缶詰などを買いに行った帰りに
トイレを借りたスーパーマーケットにも電話をしてみた。
所轄の警察の遺失物係に訊ね、最後には地元の交番に届けた。
それでも出てこない。今頃どこにいるのか。



2年前、ベルリンスクール・東京セッションのときに
忽然と消えた一号機に続いて、
僕のデジタルスチルカメラ二号機が消えた。
5月の連休のとき、秋葉原に出かけて修理までしてもらったのに。
既に写真中毒になっている僕は
デジタルカメラがないとなんだか不安である。



上の写真は三号機で初めてテストした画像。
新橋の大型電器店Lには親切な店員たちがいて、
型落ちした新品の処分品を僕は手に入れた。
これならバッテリーから買い直す必要がない。
近頃のデジタルカメラは新製品を出すたびに
使えるバッテリーの種類を変えてしまう。
これで顧客本位だなんて僕にはとても信じられないのだ。



今度は僕のもとから忽然と去らないでほしい。