銭湯が消えて、東京が壊れる


一週間分の仕事を終えると
なんだか気持ちも身体も軽い。
人間は現金なものだ。



今宵は恵比寿に向かう。
渋谷区でただひとつ入り残している
渋谷14番・改良湯につかるためだ。
なにを改良したかは聞きそびれたが、
湯舟が三つあり、水風呂まで完備している銭湯だ。




  (大通りから細道に曲がると、渋谷14番・改良湯)


渋谷区では全部で17軒の銭湯が営業している。
幻の18軒目は初台にある渋谷2番・玉川湯
先日覗きに行ったら解体工事をしているところだった。
玉川湯はいったん廃業になったが、
区営として再出発することになり生き延びた。
それでも事情が許さず、9月いっぱいで完全廃業になったのだ。



  (解体工事が始まった渋谷2番・玉川湯跡地)


一軒の銭湯が廃業するたびに、
僕が物心ついたときから知っている東京が壊れていく気持ちになる。



大通り沿いで営業している銭湯はまずない。
通りから一本二本奥に入ったところで、
その土地の人たちの疲れを癒すために
ひっそり棲息しているのが東京の銭湯なのだ。
この絶滅危惧種を絶滅させてはいけないと
僕は真剣に考えているのだ。