第144回芥川賞
西村賢太『苦役列車』(新潮社)全文掲載 1,260円
朝吹真理子『きことわ』(新潮社)全文掲載 1,260円
「文藝春秋」3月特別号(文藝春秋) 860円
第144回直木賞
道尾秀介『月と蟹』(文藝春秋)第一章のみ掲載 1,470円
木内昇『漂砂のうたう』(集英社)一章から三章まで掲載 1,785円
「オール讀物」3月号(文藝春秋)1,000円
- 作者: 西村賢太
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2011/01/26
- メディア: 単行本
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第144回芥川賞・直木賞はともに二作当選であった。
久々に小説にスポットライトが当たった感じがする。
本日は内容ではなく小説と価格の関係を考察する。
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2011/02/10
- メディア: 雑誌
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芥川賞は「文藝春秋」を一冊買えば、
860円で、2,520円分の受賞作全文を読むことができ
なおかつ他の記事も読める。
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2011/02/22
- メディア: 雑誌
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直木賞は「オール讀物」一冊買っても、
二作とも冒頭から中途までしか読めず、後はあらすじのみ。
したがって、選評や受賞のことばも合わせて読もうとして
「オール讀物」も単行本二冊も買うと、4,255円かかる。
芥川賞860円に対して、直木賞4,255円。
- 作者: 朝吹真理子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2011/01/26
- メディア: ハードカバー
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出版社同士の利権の問題かとも思ったが、
芥川賞はともに新潮社。
直木賞は文藝春秋と集英社。
どの作品が受賞するか事前には分からないし、
両賞のスポンサーが文藝春秋であっても
単行本の出版社は毎回まちまちであるから、利権問題が理由ではない。
とすると、この差はなぜか。
直木賞受賞作を「抄録」としているのは
両作が長編であるためと説明しているが、
四冊の単行本の頁数を比較すれば説得力ある理由ではない。
- 作者: 道尾秀介
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2010/09/14
- メディア: 単行本
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これだけ本も小説も読まれない時代となっているいま、
今回の受賞4作は読者層を広げる大チャンスである。
となれば、直木賞も全文掲載とし、
日頃この雑誌を買わない人にも小説を読まない人にも
アプローチするのがよかったのではないか。
それで単行本が売れなくなることを心配するなら、
文藝春秋の単行本チーム、集英社に
なにがしかの掲載料を支払えばよかろう。
- 作者: 木内昇
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2010/09/24
- メディア: ハードカバー
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受賞作は両誌で全文掲載するだけでなく、
電子書籍、ケータイ書籍、タブレット書籍などを同時発売して
若い層に小説の面白さを知ってもらう機会にしたらどうか。
せっかく新しいストーリーテラーたちが誕生し、
審査員の先生方がスポットライトを当てても
出版界の価格設定、利権調整、流通方法、出版スピードが
旧態依然であれば好機を逃す。
それはあまりにもったいない。
ちなみに僕は「文藝春秋」「オール讀物」の二冊を購入。
計1,860円の支出。
『苦役列車』『きことわ』二作は読み終えた。
単行本は買わない。文庫になったら再度買うかどうか考える。
「あとがき」や「解説」が購入を後押しすることもある。
『月と蟹』抄録は読み終えた。
『漂砂のうたう』抄録をいま読んでいるところ。
この二作はあらためて単行本を買うかどうかは微妙。
文庫になるまで待つという選択肢を取るかもしれない。