僕が旅をおもしろいと思うのは、
持っていける荷物の量に限りがあることだ。
小さなスーツケースとショルダーバッグにおさまる荷物となると
はてなにを持っていくことにして、なにをあきらめようか、
毎回知恵を絞ることになる。
近頃はMacBook Air、iPad、iPhoneと
電子機器を数台持っていくので
重宝するのはポケットWiFiと呼ぶルーターだ。
これがあればいつでもどこでも5台まで同時に
ワイヤレスでインターネットに接続できる。
ただし国内で使っているポケットWiFiはそのまま海外では使えない。
マレーシア、シンガポールのように二国にまたがっての旅では
それぞれ一台ずつ必要になる。
ホテル、空港などではワイヤレスが使えるところも多いが、
メールを読んだり、返信したりなどは
場所を気にせずすきま時間を使うのが便利だ。
シンガポール・チャンギ空港のラウンジで
メガネのネジが外れて困っていた。
指のツメで回そうとしてもなかなか十字の超小型ネジは回せない。
悪戦苦闘していると、男が立っている。
「これを使うといいよ」
超小型のネジ回しを僕に貸してくれた。
「これはいいね。どこで手に入れたの？」
「中国のメガネ屋ならどこでもあるよ」
なんと準備がよく、
観察力と親切心を持ち合わせた旅人なんだろう。
「ありがとう。助かったよ。安全な旅を！」
「君もね」
彼のスーツケースにはメガネの超小型ネジ回しの他に
どんなものが入っているんだろうか。
僕はちょっと気になった。
男がラウンジを去った後、僕はiPadを取り出しAmazonを検索した。
男のネジ回しと同じものは見つからなかったが
小型のメガネネジ回しをひとつ注文した。
新潟県三条市・兼古製作所の製品である。
次の旅にはメガネケースに忍ばせていこう。
（兼古製作所 メガネ用精密ドライバー 472円）
