落合博満『コーチングー言葉と信念の魔術』(2001)


落合博満コーチングー言葉と信念の魔術』を読む。
近著『采配』がよく読まれているが、
その勢いで10年前のこの著書も増刷平積みになっていた。
落合の野球に対する姿勢、群れをつくらない生き方には
かねがね共鳴していた。
この本は素朴な文章ながら落合の考えが率直に述べられている。
よくありがちなゴーストライティングの匂いがしなかった。


コーチング―言葉と信念の魔術

コーチング―言葉と信念の魔術


例えばこんなタイトルが並ぶ。


  コーチは教えるものではない。見ているだけでいいのだ
  最も優秀なコーチこそ、一軍ではなくファームに置きたい
 「良いコーチ」と言われたいのか、
  それとも「良いコーチ」になりたいのか
  部下の専門分野に強くなれ
  食事と睡眠。精神的スランプ克服法はごくシンプル
  たとえ結果が出なくても、自分がやってきた事実まで否定するな
  良き理解者が三人いれば、人生は見誤らない


                 (本書目次p.8-16から引用)



この本を書いた2001年春、
落合は横浜ベイスターズ森監督に招かれた。
現役を引退して初めて3日間だけ「臨時コーチ」を務めたのだ。
その後、落合が監督としてどれだけの実績を残したかは
僕たちは日本プロ野球史の事実として知っている。
コーチング』『采配』を同時に読むことで
落合の目標設定、方法論とその結果を比較対象できるのだ。
有言実行の男、落合に学びたい。


采配

采配


(文中敬称略)