昭和を食べ、昭和を飲む


僕は47階建て高層ビルの38階で働いている。
だからせめて昼飯くらいは地面に近いところで食べたい。
S駅に隣接する駅前ビル一号館は
昭和の雰囲気を残しているというより昭和そのままである。
昨日紹介した坪内祐三『酒中日記』にも
このビル内で飲食する様子が何度か書かれている。



この道30年、ハンバーグで勝負する店
ハンブルグ』に初めて入る。
4種類のランチのうち
もっとも店の看板定食であるように思える
ハンバーグ定食を注文。580円也。
僕にはボリュームがやや不足かなとは思ったが、肉質がよい。
ハンバーグは手を抜こうと思えばいくらでも抜ける料理だ。
確かに良心的な味である。



食後に向かいのコーヒー専門店
『コーヒーファースト』にこれまた初めて入る。
初老のおばちゃんがひとりでやっている店で
ドリップ入れ立てのコーヒーを250円で飲ませる。
ここももちろん昭和である。
街中にあまたあるチェーンのコーヒー店とは
雰囲気からしてまるで違う。
昭和を残そうと無理な努力をしていると言うより、
佇まいがそのまま昭和なのがいい。


(文中敬称略)