川上弘美『此処彼処』(2005/2009文庫版)


川上弘美のエッセイ集『此処彼処(ここかしこ)』を読む。
タイトルを見るだけでしびれてしまうほど、
今年、僕は川上弘美の文章のファンになった。


此処彼処 (新潮文庫)

此処彼処 (新潮文庫)


自分が所有している訳でもないのに
なぜかここは自分の場所であると確信してしまう土地について
1月から12月まで綴った連作。
ああ、そういうことってあるよな、と妙に納得してしまう。
確かアメリカ原住民の呪術師ドン・ファンが、
空間の中で自分の居場所を探す訓練について述べた一節があった。
調べてみよう。



例えば研修のセッションで部屋に入ったとき、
席が固定していなければ自分の居場所を探す。
確かに気分の落ち着く場所がある。
初めて入った酒場なのに、ああ、ここは自分の居場所で
これから何度も訪れるだろうと直観する。



体内に持つGPS機能はデータの集積で正確さを期す通常のGPSとは
どうも成り立ちも働きも違うようだ。
直観のGPSを大切にして、できうる限り自分に無理のない、
自分に嘘をつかないですむ居場所を見つけ生きていきたらと思う。


ドン・ファンの教え (新装版)

ドン・ファンの教え (新装版)


wikipedia:カスタネダ
wikipedia:en:Carlos Castaneda

(文中敬称略)