伊藤和夫『英文解釈教室(改訂版)』(1977初版/1997)


言葉はリニアの構造である。
横書きの文章なら左から右に読んでいけば
理解できるように本来組み立てられている。
そうした「直読直解」が英語でどうしたらできるようになるか。
伊藤和夫『英文解釈教室(改訂版)』を読む。


英文解釈教室 改訂版

英文解釈教室 改訂版


一定以上の知的水準の例文を筆者が集め
構文の視点で丹念に読み解いていく。
15章に及ぶ内容を根気よく読み進めば、
英文を読む力が上がってくるのが確かに分かる。


文法書をまるまる一冊読んでも
そうした手応えはなかなか得られない。
本書で一頁一頁思考法を鍛錬することで
伊藤が発見した法則が自家薬籠中の物になっていく。



大学受験生の参考書として紹介されているが、
構文視点で英語読解力をつけるために社会人の役に立つ。
英語を一通り学んだ後で戻る場所である。
Get back to where you once belonged.


伊藤が1997年1月に逝去する直前、
20年ぶりにこの改訂版が出版された。
癌に冒され闘病を続ける伊藤が
己の原点、代表作をさらに前に進めた骨太の名著である。



初版から数えて36年目のロングセラー。
研究社出版の矜持、よし。
この著書に出会えて僕は幸運だった。


(文中敬称略)