信濃毎日新聞「家族のはなし」


僕が6年間出向していた会社Fの同僚上島史朗が
プロジェクト・クリエーティブ・ディレクターに昇進して
最初に作った作品を送ってくれた。
信濃毎日新聞の創刊140周年キャンペーンの仕事だ。



信濃毎日は日本で二番目に歴史のある新聞社である。
上島たちが考えたのは
その土地に根付いた新聞だから
家族の絆を伝えられるという事実だった。



印刷会社に何度も交渉した。
新聞を印刷する輪転機を使って
アニメーション作品に仕立て上げた。
デジタル時代には家族の絆はアナログなのか時代遅れなのか、
と問う意欲的な作品だ。
輪転機アニメーションがいい味を出している。


印刷会社のみなさんは上島たちの訳の分からぬ情熱に
つい力を貸してしまったのかもしれない。
物を作る人間同士のあうんの呼吸の産物と感謝したい。



アニメーションは鉄拳。
NHKドラマ「あまちゃん」でお茶の間の人気を獲得したから
なじみの方も多いだろう。
コピーライター浅井勇樹、アートディレクター加納彰が
上島のチームで仕事をした。
上島はFに入社する前、長野県の広告会社に務めていた。
この仕事で第二の故郷に少しは恩返しができたろう。


(文中敬称略)