Doug Pray "Art & Copy" (2009)


有楽町マリオン・朝日ホールで
ドキュメンタリー映画『Art & Copy』(2009)を観る。
アップルの"1984" "Think Different"、ナイキの "Just Do It"、
ジョンソンやレーガンの大統領選挙キャンペーンなどを立案制作した
アメリカを代表するクリエーティブ・ディレクターたちが登場する。



   (右から二人目が監督のDoug Pray)


ドラマや映画で戯画化される「天才クリエイター」ではなく、
想像力と創造力を駆使して人々に感動を与え、常識を変えてしまう
才能と努力の人間たちがいる。



   (Hal Riney)


ひとりの男のナレーションが上映中ずっと気になっていた。
レーガン大統領再選キャンペーンのテレビCMだ。
その仕事を手がけたクリエーティブ・ディレクター、
Hal Riney自身の声だった。
Halの書いたナレーションは彼の声を通じて
うるさ型の記者たちまで沈黙させるほどアメリカ人の心に届いた。
この映画は、2008年に亡くなったHalの追憶に捧げられている。



   (Dan Wieden)


最終回上映前には電通鏡明さんが、
この作品の背景を解説してくれた。
60年代に始まったDDBのクリエーティブ革命が
2010年に広告の仕事をしている人間にどうつながっているかの洞察である。
広告が単に企業のソリューションや、物を売るためだけのものでなく、
文化や芸術の一部になりうることを
鏡さんが強調していたのが印象的だった。



   (Mary Wells)


広告界でも別格の仕事を実現してきた男女が
自らの思いを全篇で語っているのがこの作品の厚みに創り出している。
導入部分ではあえてそうしたスターを出さずに
父親の代から街の広告看板を交換する仕事に従事する男を登場させる。
彼は広告制作者たちとは一切交流を持っていないが、
広告の世界を舞台裏で支えているひとりである。
観客を広告クリエーティブの真実に引き込むための
効果的なイントロダクションになっていた。



   (Jeff Goodby)



   (Lee Clow)


ACC50周年記念イベントである「CM博覧会」以外では
日本での公開予定は残念ながらない。
英語版のDVDが出ている。
予告篇は以下で観られます。



Art & Copy: Inside Advertising's Creative Revoluti [DVD] [Import]

Art & Copy: Inside Advertising's Creative Revoluti [DVD] [Import]


(写真は「Art & Copy」オフィシャルサイトから引用しました。)
(The photographs above belong to
  the official site of "Art & Copy")