Jay Rubin "Making Sense of Japanese" (2012)


Jay Rubin "Making Sense of Japanese -
What the Textbooks Don't Tell You" を読む。
(「日本語の理解を助ける―教科書が教えてくれないこと」)


Making Sense of Japanese: What the Textbooks Don't Tell You

Making Sense of Japanese: What the Textbooks Don't Tell You


Jay Rubinは元ハーバード大学教授。
村上春樹の小説の英訳でも知られる。
僕はNHKラジオ英語講座「英語で読む村上春樹」(いい番組です!)で
この著作の存在を知り、読んでみた。


Jayは日本語に関する通説に異論を唱える。
「日本語は論理的かつ明瞭な言語である。
でなければ、トヨタソニーがあれほど世界で成功したはずがない」。
主語がなくても文が書ける日本語に
ゼロ人称(Zero Pronoun)の概念を提唱する。
前後の文脈で主体が明瞭だからこそ、
一人称でも二人称でも三人称でもないゼロ人称で文が書けるのが日本語だ。



村上春樹の小説を英訳する翻訳家はアメリカに三人いる。
そのひとりがJay Rubinである。
この人の英文を読んでいると、まるで音楽のようで、
思わず暗唱したくなるほど気持ちいい。
Jayが村上春樹の文体に感じている音楽性とシンクロして
心に響いてくる。


ハルキ・ムラカミと言葉の音楽

ハルキ・ムラカミと言葉の音楽


Jayのような日本、日本文化の理解者を
僕たちはもっと大切にした方がよい。
文化的外交術であり、
日本のための世界ネットワーキングである。
日本が世界の中で確固たるポジションを獲得しようと思えば、
政治、経済の領域だけでは不足する。


日本語の秘訣―Making sense of Japanese (Kodansha's Children's Classics)

日本語の秘訣―Making sense of Japanese (Kodansha's Children's Classics)


   (和訳はこちらをどうぞ)


wikipedia:ジェイ・ルービン
wikipedia:en:Jay Rubin


(文中敬称略)