Haruki Murakami "Killing Commendatore" (Vintage International, 2019)

日本語で読んだ小説を、今度は英語で読んでみる。
物語が既に頭に入っているから、いいトレーニングになるのだ。
Haruki Murakami "Killing Commendatore" (Vintage International, 2019)
村上春樹騎士団長殺し』(新潮社、単行本2017/文庫2019))を読む。


(電子版をiPhone, Kindle paperwhite併用で読んだ)


翻訳はPhilip GabrielとTed Goossen。
大作だから版元は早く出版したくて、二人の共同チームを編成したのだろう。
PhilipもTedも村上作品翻訳ではJay Rubinと並んで実績・定評がある。
物語はこんな風に始まる。


  Today when I awoke from a nap the faceless man was there before me.
  He was seated on the chair across from the sofa I'd been sleeping on,
  staring straight at me with a pair of imaginary eyes in a face that wasn't.


英語で読むのと並行して
Transcribing(筆写)と名付けたトレーニングを始めた。
英文をノートに書き写していくのだ。
般若心経の写経ですね。


広告会社で新人CMプランナーとして仕事を始めるようになったとき、
達人コピーライターたちのコピー(広告文章)をひたすら「写経」する時期があった。
不思議なもので何度も書き写すうちに、
その人の文章のリズムが手から吸い込まれていく感覚になるのだ。


とは言え、いざ自分が書く段になるとそうはいかない。
彼我の差が歴然とする。
「写経」トレーニングは誰かの発明ではなく、
広告クリエーティブ界ではずいぶん知られたことだった。


外国語の習得でも「筆写」は有効な方法の一つであると認められている。
せっかくやるのなら、自分の好きな作家の名文をTranscribingしたい。
村上春樹作品の英文は僕にとって絶好の「教材」でもあるのだ。


「音読」もトレーニングになる。
要は黙読で目と脳だけを使うのでなく、
手も口も耳も(場合によっては足も)フル稼働するのが
本と付き合うもうひとつの方法なのではないかと思う。


(日本語と英語の表現を比較してみるのも面白い)


村上春樹「象の消滅」英訳完全読解

村上春樹「象の消滅」英訳完全読解

  • 発売日: 2015/02/27
  • メディア: Kindle
NHKラジオの名番組「英語で読む村上春樹」から2冊の本が生まれている)