コピーの神さまの講義を聴く土曜日


コピーの神さま、秋山晶さんの講義を聴くために
表参道に出掛けた。
こんな機会はめったにない。


  男は黙ってサッポロビール
  ただ一度のものが、僕は好きだ。
  その先の日本へ。


記憶の底に深く残るコピーの数々を
秋山晶さんは書いてきた。
79歳のいまも現役である。
後輩たちのずっとずっと先を走り続けている。
言葉でなく、背中と行動で教える数少ない先達である。



東京コピーライターズクラブ(TCC)の30代幹事が中心になり、
東京コピーライターズクラブ大学(TCCC)を開講している。
「きょう聞いて、あした使える!」がキャッチフレーズで
会員やコピーライター志望の学生が対象だ。
会場は表参道のTCCクラブハウスを使う。
スペースが限られているので
定員35名プラス立ち見席数名がやっとだ。
だが、このスペースがいい。
コピーライターのスピリットが
この空間には充満しているように思う。


一般2,100円、会員1,100円の会費をいただく。
参加者に身銭を切ってもらうのは
会の品位、ある種の緊張感を保ち、そして試みの継続のためにいい。
決済にはPeatixを使う。
会費の2.9%+70円の手数料を支払えば、
こうしたイベントの決済業務をすべて代行してくれる。
チケット代が1,000円ならば
29+70=99円をプラスして1,099円で仕切れる。
先日、僕が招かれた「遊子ラボ」もPeatixを使っている。
小さなセミナーを開催したいグループ、個人にはなによりの味方だ。


秋山晶さんの講義の一般枠チケットは21分で売り切れた。
会員枠も1日で完売した。
僕は真っ先に購入したから座席を確保できた。



  (TCC次期審査委員長・福里真一さんも会場で質問していた)


司会のお二人、秋山さん本人のコピー朗読がよかった。
ボディコピーの質は朗読に耐えられるかどうかですぐに分かる。
掲載から何年経っても朗読して気持ちのいい秋山さんのコピーは一級品だ。


質疑応答の時間になり、会場のコピーライターが質問した。
「どうすればいいコピーが書けますか?」
秋山さんは答えた。
「いいことを訊いてくださってありがとう。
 ちゃんとお答えしたかったから紙に書いてきました」
秋山さんは、
高橋源一郎吉田修一江國香織の文章を引用して朗読した。
三篇に共通するキーワードは「孤独」だった。


  「いいコピーを書くには深く穴を掘って
   自分がその穴の底に座ることです。
   そうイメージすることです。
   時間が経つうちにあたりの砂が落ちてきて、
   穴の底が浅くなります。
   そうしていつか地面に出てきます。
   地上は風も吹いていて気分がいい。
   そのとき自分のピークが終わります。
   僕は45歳のときに穴の外に出てきてピークを終えました。
   穴の中にずっといることがつらくなったからです。
   いいコピーを書くには孤独の意識が必要です」


   (注:僕のメモから再現しているので
    一字一句秋山さんの言葉ではない)


いまからでは間に合わないだろうけど、
僕も深い穴をもう一度掘って、コピーを書きたいと思った。



  (秋山さんの講義に参加できた幸福な人たち。
   TCCフェイスブックページより引用)