鎌倉孝夫/佐藤優『はじめてのマルクス』(2013)


資本論」の勉強を続けている。
鎌倉孝夫佐藤優『はじめてのマルクス』を読む。
対談の形式を取っているが、
資本論」をいま学ぶ意義はなにか。
資本論」を読み解く上でどこでつまづくか。
そうしたことが分かる副読本になっている。


はじめてのマルクス

はじめてのマルクス


編者が付けたであろう詳細な脚注が勉強になる。
対談中に出てくる重要項目について
簡潔な説明や関連図書が記してあるのだ。
例えば「新自由主義」「ポストモダン」「ギリシャの経済危機」
といった言葉に解説が付く。
「まえがき」で佐藤はこう言う。


    株価を基準に経済を考えるという発想自体が、
    既に特殊なイデオロギーを自明の前提としていることに
    気づいている人があまりにも少ない。
    少し乱暴な言い方をすれば、株価至上主義という宗教に
    われわれはマインドコントロール(洗脳)されているのである。
    (p.3より引用)



鎌倉の語るアカデミアの用語、概念はゴツゴツして
ちょっと食べづらかったり消化しづらかったりする。
そのギャップを埋めるため
佐藤が補助線を引き読者の理解を助ける。
17歳だった佐藤に42歳の鎌倉が
労働大学夜間講座で「経済学」を講義したのが二人の出会いだ。
36年後に実現した二人の「資本論」セッションが本書だ。


(文中敬称略)