『ハウス・オブ・カード』(シーズン1)(2014/放映2013)


今年のカンヌ・ライオンズで
Netflixがこの作品を展開したキャンペーンで
インテグレイテッド部門グランプリを受賞した(企画制作:BBH New York)。
11月に決まる米国大統領選をモチーフにしたことは理解できたが
授賞理由が僕はもう一つピンと来なかった。
『ハウス・オブ・カード 野望の階段』(シーズン1)を見始める。



Kevin Sapcey演じる
アメリカ上院議員Frank Underwoodが大統領選に出馬。
選挙対策本部を設置したり、ディベートに参加したり、
選挙公報テレビCMを放映する。
要は『ハウス・オブ・カード』の内容を熟知し、
Frank Underwoodが何者で、
キャンペーン全体が壮大なジョークであることがあらかじめ分かっていて、
ピンとくるグランプリ作品だったのだ。



日本ではテレビドラマ『半沢直樹』で大人気となった主演男優・堺雅人
ソフトバンクが広告で起用。
営業本部長らしき役割を与えられ、
NTTドコモを思わせるテレコム業界巨人に挑戦する。
佐々木宏クリエーティブ・ディクレターの元、
CMプランナーとして参加した澤本嘉光
この仕事で2014年度TCC(東京コピーライターズクラブ)グランプリを受賞した。


『ハウス・オブ・カード』でアメリカ大統領選を乗っ取れば
世界のカンヌでグランプリ。
半沢直樹』の人気にうまく乗って
テレコム戦争に挑むキャンペーンに仕立て上げれば、
日本のTCCでグランプリ。
僕にとっては両方の仕事の価値は同等に高い。
けれども一方は世界でグランプリ、もう一方は日本でグランプリ。
評価は不公平だ。



もし、仮に日本人CMプランナーが
アメリカ大統領選を乗っ取るキャンペーンを思いついたとしても
世界の聴衆を沸かすだけのリアリティを獲得できるかどうか。
『ハウス・オブ・カード』を使ったキャンペーンを
Netflixに売り込みに行けるか。
クライアントは採用するか。
多国籍チームを率いる日本人クリエーティブ・ディレクターで
そんなことに挑んで達成できる人が出てきたら、
この業界ももっと面白くなるんだけどな、とひとり夢想する。


ちなみに『ハウス・オブ・カード』は脚本、配役、演出、
どれを取っても一流のドラマ。
Frank Underwoodが「悪い奴」であるのが
なんともうれしくなった。
悪役が活き活きとした物語が僕は好きなのだ。


wikipedia:en: House of Cards (U.S. TV series)
wikipedia:en: Kevin Spacey