池上彰/佐藤優『僕らが毎日やっている最強の読み方』(2016)


お二人が毎月量産する本の中でも
この一冊は見逃せないなと思い
新宿京王・丸善に注文しておいた。
鞄に忍ばせた全国共通百貨店商品券の出番である。
池上彰佐藤優『僕らが毎日やっている最強の読み方』を読む。



東洋経済」誌12月5日号が
その一端を特集「情報の裏側」で予告編のように紹介していたが、
これぞ、全329頁の決定版!
僕が注目する二人が、日々どんな読み方でインプットをして
知的生産性を上げているか、惜しげもなく開陳している。


例えばこんな箇所に僕は「なるほど!」と思った。
池上が語る。


  新聞はここ数年で急激に変わりましたからね。
  ひと昔前までは、どの新聞を読んでも、
  ニュース記事に関してはそこまで大差なく、
  1紙を読んでいたら大きな流れはつかめたと思うんです。
        (中略)
  2013年くらいからじわじわ違和感を覚えていましたが、
  決定的だったのは2014年1月末ですね。
  NHK籾井会長の就任会見に対する、
  各社の紙面構成がまったく違ったんです。


佐藤が受ける。


  私がはっきり意識したのは2013年12月26日以降、
  つまり安倍首相の靖国神社参拝からです。
  ここから、保守系とリベラル系の違いが鮮明になってきたと思います。
                     (本書pp.41-2から引用)



僕などはつい最近まで
新聞などどれを読んでも同じだろうと高をくくっていた口である。
2013年末から2014年始めにかけての
日本の新聞メディアの変貌をうっかり見落としていた。


こうした具体的指摘ができるのが
知のプロフェッショナルである。
ふたりが日々複数の新聞を読み比べ、
そこからどの情報を取り、どの情報を捨てるかの作業を欠かさないから
変化を直感的かつ具体的に示すことができる。


遅まきながら僕も、
購読しているウォール・ストリート・ジャーナル日本版、
The New York Times以外に
勤務先で読める「読売」「朝日」「日経」などに目を通し始めた。
しばらくこうした習慣を続ければ、
日本の新聞から情報を取る勘ができてくるはずだ。



  (気になる記事はpdfにするか、iPhoneで写真に撮り
  データ化しておく)


本書は二人が信頼を寄せる東洋経済新報社の編集者、
中里有吾の仕事である。


(文中敬称略)